乳ガンはやや増える
ピルをのみ続けることで増えるかもしれないのは乳ガンです。
どれくらい増えるかについては、いろんなデータがあります。
ピルをのんでいない人と比べて、発症率が「変わらない」というデータから1.3倍くらいになるというデータまであります。
ただ、いくら多めに見積もっても倍にはならない、3割増くらいです。
次に子宮頚部(けいぶ)ガンもピルをのむことで増えるかもしれないと言われていますが、ピルをのんでいない人と比べて「変わらない」というデータから2倍になるというデータまであります。
データの幅が広いのは、子宮頚部ガンはセックスパートナーの数や回数に強く影響されるので、データにばらつきが生じるためです。
結局、ピルをのむことで、乳ガンと子宮頚部ガンが増えて、卵巣ガンと子宮体部ガンが減る。
悩ましい選択のようですが、乳ガンと子宮頚部ガンは定期的に検診を受けることで早期発見しやすいガンです。
それに対して、卵巣ガンと子宮体部ガンは早期発見が難しいガンです。
なので、医者としては、ピルをのむことで早期発見の難しいガンを減らし、定期的に検診を受けることで乳ガンと子宮頚部ガンを確実に早期発見するのがお勧めです。
言い換えれば、ピルをのんでいる人はぜひ乳ガン検診、子宮頚部ガン検診を受けるようにしてください。
血栓
ガンとならんで怖いピルの副作用は血栓です。
血栓というのは血管の中で血が固まることで、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。
多くの研究データでピルは血栓の発症率を2~3倍に増やすとされています。
ただ、ピルをのむ若い(閉経前の)女性では、血栓症の発症率そのものが低いので、2~3倍といっても絶対数としてはさほど多くありません。
なお、血栓の引き金になるのはピルだけではありません。
ピルよりも遥かに怖いのはタバコです。
ピルをのんでタバコも吸っている人は、ピルもタバコもしない人に比べ血栓の発症率が10倍から100倍になる(年齢と共に高まる)というデータがあります。
タバコを吸う人はこれを読んで「じゃあピルは諦めよう」と考えないで、「この機会にタバコをやめよう」と考えてほしいです。
そうでなくてもタバコは、肌の老化を促進し、妊娠した場合は胎児に悪影響を及ぼし、育児中は子供を受動喫煙に巻き込むという女の大敵、女の仇のような毒物ですから。
今は、ニコチンパッチ、ニコチンガム、経口薬禁煙薬(脳に働いてタバコを吸いたいという気持ちを抑える薬)など禁煙補助グッズもいろいろあります。
むくみと肥満
「ピルをのむと、むくむよ、太るよ」という言葉、一度は聞いたことがあるのでは?
多くの女性がピルをのむのをためらうのは、ガンでも血栓でもなく、むくみや肥満が怖いからでしょう。
確かに、旧世代のピル(高用量ピル、中用量ピル)には、そういう副作用がありました。
今主流になっている低用量ピルでは、この種の副作用はかなり少なくなっています。
ゼロではありません。
ただ、ピルと一口にいってもいろんなタイプがあり、人それぞれ相性があります。
1種類のピルでむくみが出たとしても、別のピルなら大丈夫ということも多いです。
前回お話ししたように、ピルは確実な避妊法である上にいろんなメリットがある薬です。
特に生理のトラブルに悩んでいる人は、1種類だけで諦めないで、何種類か試してみることをお勧めします。






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